一目惚れした椅子:イームズのロッキングチェア     


イームズロッキング

 大学の頃からボサノバが好きだったのです。(かといって、ボサノバに詳しいわけではありませんが・・・。)
 だけどラジオなどで耳にするボサノバは聞き慣れた曲ばかり。(とはいっても、その頃は今と違いボサノバを耳にする機会はめったになかった気がします。)
だから小野リサさんがデビューしボサノバの「新曲」を聞いてすぐにファンになったのでした。

 その小野リサさんが「Esperanca」というアルバムを出したとき(1994年かな)もすぐに購入しました。で買ったばかりのCD聞きながら、ライナーノーツなど眺めていると、一つの黄色いかわいい椅子に目を奪われました。小野リサさんが座っていた椅子。それが今回紹介する椅子です。

 椅子に興味をもちはじめたころだったので、この椅子のことは何も知らなかったのでした。そして、手持ちのカタログなどいろいろ探してみたけど、見つからない。しばらくして、久しぶりに会ったインテリアデザインをやっている友人に「こんな椅子、しらない」ってヘタクソな絵を描いて見せたら、「たぶん、イーズムのシェルチェアだと思うけど、ロッキングなんて知らないなあ」という返事。それから探しました。で、数ヶ月後、ついに雑誌で同じ椅子を発見。でも、小野リサさんが座っていた黄色のシェルに黒のスチールの脚ではありませんでした。それでもすぐに問い合わせをしたのです。あったのは「オレンジ」と「黒」の2種類のシェル。脚はシルバー。CDとまったく同じものはなかったのですが、安かった黒のシェルのロッキングを注文しました。実は、このロッキングタイプ、日本では発売されなかったのだそうです。シェルのデッドストックがアメリカで見つかって、脚はそのお店「モダニカ」が復刻してつくったものでした。

 届いたら、自分でCDジャケットと同じ色に塗ろうと思っていたのですが、本物を見たらなかなかシックでいいのです。シェルの手触りも、べたつき感がなくて思ったほど冷たくもない。座ると妙に身体になじむし、なにより、硬いシェルに座ったときのショックをロッキング機能が和らげてくれるのでした。脚は華奢なワイヤーにもかかわらず、丈夫で剛性感もあります。座り心地には期待せずに買った椅子でしたが、これはアタリ!楽しくて、かわいくて、座り心地もいい。
 お客さんにこの椅子を差し出すと、シェルで脚が見えにくいためか、座ってみて初めてロッキングすることに驚き、あらためて脚の方を眺めて納得されているようです。そして必ずといっていいほど、ゆらゆらと揺らしながら「いいですねえ」と言ってくれるのでした。

そうそう、この椅子が届いて初めてやったこと。もちろん、小野リサさんのアルバム「Esperanca」の鑑賞でした。