ショッキングな椅子発見:アーロン・チェア     


アーロン

アーロン・チェアが今回の椅子です。

  ちょうど、独立した頃だと思います。雑誌にアーロン・チェアの輸入開始の記事がありました。
それまで、一度も見たことのないフォルム。ほんとうに一目惚れ!どこからみても機能のカタマリという感じ。設計をやっている友達に見せたら、気持ちが悪いだの、グロテスクだのと言いたい放題。だれも、いいねって言ってくれないのでした。なんで、この椅子の魅力が伝わらないんだろう・・・。

  知り合いの販売店の方に話をしたら、しばらくして、サンプルが手に入ったという連絡があり、わざわざ、事務所まで持ってきてくださいました。
本物を見た瞬間、あまりのすごさに驚き、とにかくあちこち眺めまわすこと数分。そして試乗?というのでしょうか、座らせていただきました。
はじめてのメッシュの座面。おそるおそる座ってみると、今までに体験したことのないさらりとした感触。肘掛けを動かし、高さを変え、バネをいじくり、動きをロックしたりと、あらゆるレバーを触り尽くしました。感想は?もちろん、好感触です。しかし、身長159センチの僕には座面が高い。それと一回り大きい感じ。
「この椅子って3サイズありましたよね」という質問に、「日本に輸入するのはこのMタイプのみです。」との返事。
座面の高さにこだわる僕としては、どんなに良くても、座面が高いのは致命傷であることを伝えました。そして、Sサイズが取り寄せられないのか尋ねたところ、輸入の予定なしとのこと。無理を承知で「Sサイズ」なら購入したいという意向をつたえました。

 それから数日してITOKIより電話がありました。「3ヶ月ほどまっていただければSサイズを取り寄せます。」とのこと。なんと、取り寄せてくださることになったのです。そうなれば金額なんてソッチノケ。すぐに注文しました。まあ、自分への独立祝いということで・・・。

 待つこと3ヶ月。ついにやってきました。日本には何台もないはずのSサイズのアーロンチェア。こぢんまりとした姿は、なんだかMサイズのもの以上に機能が凝縮された雰囲気。サイズもぴったり、座面もなんとか合格ライン。

 しばらく使ってみるとメッシュの良さを実感しました。腰に熱がこもらなくて疲れにくいとのうたい文句どうり、ほんとうにつかれにくいのです。何時間座っていても腰のあたりが調子がいいのです。また肘掛けの高さや角度がかわることがこんなに重要だなんて思いもしませんでした。

 数日使用してみて、改めてカタログを眺めていると、背もたれをぐっと倒してリラックスしている写真を発見。それまでもスプリングの調整ノブを数回、回してはいましたが、自分のは、そんなに倒れないので、体重のせいかなと思いながらも、どうしてもその角度にしてみたくなり、だめもとでスプリングのノブを回し始めると、これが手がつかれるくらい何回転もするではありませんか。そして背もたれのスプリングはどんどん柔らなくなっていき、おそるおそる座ってみると、柔らかくなったスプリングがとてもやさしく体を受け止めてくれるのです。まさしくカタログで見たアノ状態。ロッキングチェアに腰掛けたときの、あの感覚に少々似てます。なんと、アーロンチェアの魅力は事務用の椅子としての使いやすさだけではなかったのです。リラックス用の椅子としても充分耐えられるだけの性能を併せ持っていたのでした。それからしばらくは、ほかの椅子に座ることすらなくなっていました。

ちなみにこの「Sサイズ」。現在はカタログモデルになっています。